2つの危機ならぬ【複合危機】
グレタさんは「新型コロナ」と「温暖化」と【2つの危機】に同時に対処する必要があると発言していました。
実際は現時点で3つだと思います。
それは津波の壁のように迫る「食料危機」です。
新型コロナの死者数最悪の想定では全世界でおよそ5000万人ですが、
2020年度中の食糧危機による飢餓の予想が現時点で1億5000万人、3倍です。
霊的にみれば、ここからの対処は個人としても国家としても、
日本は日本神界から見られていますし、計量されています。
裏を読まない浅はかさにつける薬はない、とフィオラに昨年400回繰り返されている私は、迫る津波(医療崩壊も)に顔が強張っています。
元はと言えば…私たちの浅はかさが招いたことです。
宇多田ヒカルがこの曲で世に出てきたとき、
時代が変わったと誰もが実感しました。
いまはそれとは違った意味で、確かに時代が変わってしまいました。
いまは既に歴史です。
歴史書の中を手探りで動き、匂いを嗅ぐという後世の人の夢見る時間を私たちはいま与えられ、日常の日々として体験しています。n250036

世界各地で最大2億5000万人が飢える恐れ 国連が警告
2020年04月22日
国連は21日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)により、世界各地で「大規模な」飢きんが発生する可能性があると警告した。世界食糧計画(WFP)のデイヴィッド・ビーズリー局長は、大災害を回避するために喫緊の対策を講じる必要があると指摘している。
WFPが発表した「世界食糧危機報告」によると、1億3500万人から2億5000万人が飢餓(きが)状態に陥る可能性があるという。
最も影響を受けるのは紛争や経済危機、気候変動の影響を受けている国々で、WFPは特にイエメン、コンゴ、アフガニスタン、ヴェネズエラ、エチオピア、南スーダン、スーダン、シリア、ナイジェリア、ハイチの10カ国の名前を挙げた。
南スーダンではすでに昨年、政情不安を受けて人口の61%が食糧難に見舞われたという。
新型ウイルスの影響を受ける以前から、東アフリカや南アジアでは干ばつや、バッタなどが農作物を食べつくす蝗害(こうがい)によって深刻な食糧危機が起こっている。
国連安全保障理事会のビデオ会議に参加したビーズリー氏は、「賢く、迅速に動く必要がある」と訴えた。
「ほんの数月のうちに複数の大規模な飢きんが起こる可能性がある。もう時間がない」
理事国に行動を呼びかける中でビーズリー氏は、「我々の専門知識とパートナーシップがあれば、COVID-19のパンデミックを食糧危機の大災害にしないために必要なチームとプロラムを策定することができるだろう」と話した。
「すでに糸につかまっているような状態」
WFPでシニア・エコノミストを務めるアリフ・フサイン氏は、パンデミックによる経済的打撃は、「すでに糸につかまっているような状態」の数百万人もの人々にとって大災害になる可能性があると指摘した。
「賃金を稼がないと食べるものが買えないような何百万もの人たちにとって、これは大打撃だ」
「ロックダウン(都市封鎖)や世界的な景気後退はすでに、巣の中の卵を殺している。COVID-19のようなショックひとつで、卵は転がり落ちてしまう。一丸となってこの世界的な大惨事による被害を最小限にする必要がある」
WFPは今月初めにも、資金不足によって紛争の続くイエメンへの人道支援を半減しなくてはならないと発表した。
WFPは毎月イエメンの1200万人に食料を届けており、その8割が反政府武装勢組織フーシ派が占拠する地域に住んでいる。
イエメンは4月に入ってから、最初の新型ウイルス患者が出たと報告した。支援団体は、同国の弱体化した保健システムはすぐに飽和するだろうと警告している。
<解説> リズ・ドゥセット主任国際特派員
WFPのデイヴィッド・ビーズリー局長は、自身もCOVID-19から回復したばかりだ。安保理のビデオ会議では、「すみませんが、遠慮せずに話します」と前置きをした。
だが、現在の世界的な危機を前にしても、これからが直面するかもしれない問題に遠慮などない。ビーズリー氏はこれを、第2次世界大戦以降で最悪の人道危機と呼んだ。
ビーズリー氏は取材でも、国連が資金や食料を確保しなければ、たった数カ月で3000万人かそれ以上が亡くなる可能性があると懸念を示した。しかし資金提供国も現在、自国のCOVID-19危機で多大な財政コストを負っている状態だ。
最も被害を受ける人たちに背を向けると言い切った国はなかったとビーズリー氏は話した。しかし、まずは自国の備蓄確保が優先だとも認めている。また、どこかで混乱が起きれば、それが世界中に広がるだろうと指摘した。
ビーズリー氏の遠慮のない警告は、「どちらにしても、各国は責任を負わなくてはならない」というものだ。
その上で、恐怖ではなく事実に基づいて、協力することが大切だと話した。

2020.04.22 18:10
藤和彦「日本と世界の先を読む」
原油、大余剰で“お金を払って処分”の動き…「石油の時代」の終焉、中東で大惨事の前兆
米WTI原油先物価格は4月20日、史上初めてマイナスとなった。暴落の引き金を引いたのは、WTI原油先物に投資するETF(上場投資信託)である(4月22日付日本経済新聞)。米国内の原油貯蔵施設がなくなりつつある状況下で、最大手のユナイテッド・ステーツ・オイル・ファンド(USO)などによる手じまいの「売り」が殺到したことで前代未聞の状態が発生したのである。
新型コロナウイルスの感染拡大により、今年に入り世界の原油需要は日量3000万バレル以上減少したと見込まれるが、OPECとロシアなどの非加盟産油国(OPECプラス)が9日に決定した追加減産量は日量970万バレルと、需要減の3分の1にも満たない。実施されるのも5月からである。
世界の原油市場が極端に供給過剰になったことで、行き場を失った原油は貯蔵タンクに溜まる一方である。WTI原油の受け渡し地点であるオクラホマ州クッシングの原油の貯蔵容量は約8000万バレルだが、空きスペースはすでに約2000万バレルに縮小し、このままのペースで進めば5月中旬までには満杯になるとされている。
スペースがなくなれば、決済日(5月21日)を迎える期近物(5月物)に投資していたUSOは石油精製業者ではないので、現物を受け渡されても扱いに困ってしまう。「お金を払ってでも現物をさばきたい」と焦ったUSOなどの「売り」が「買い」を圧倒したことから、WTI原油先物価格はマイナスになってしまったのである。
この事態に慌てたOPECプラスは21日、緊急の電話会議を開いたが、新たな措置に関する決定はなかった。トランプ米大統領も石油業界への支援策を策定するよう各省庁に指示したことを明らかにしたが、具体的な内容はなかった。
マイナス価格となったことで原油先物市場に対する信頼感が大きく損なわれ、「もはや簡単には通常の取引に戻ることはない」として、原油価格に対する下押し圧力は続くとの見方が強まっている(4月21日付ブルームバーグ)。米WTI原油先物価格の6月物も1バレル=10ドル近辺にまで急落し、WTIと並ぶ指標価格である北海ブレント原油先物価格も20ドル割れした。
原油価格がマイナスになったことでシェール企業の大量倒産がいっそう現実味を帯びてきており、市場の混乱はジャンク債市場に波及し、さらには金融市場全体にまで及ぶとの心配が生じている(4月21日付ZeroHedge)。サブプライムローン市場の不調が、あっという間に金融市場全体を巻き込む大混乱に発展したというリーマンショック時と現在の状況が似てきているのである。
価格がマイナスになるということは、「お金を払ってでも処分したい」ということを意味する。貯蔵タンクに溜まり続ける原油を市場関係者が「ゴミの山」と称した(4月20日付ロイター)ように、原油は家電製品などの粗大ゴミと同じになってしまったのである。かつて原油は国の帰趨を制する戦略物資として位置づけられていた。第1次世界大戦で当時のフランスを率いたクレマンソー首相が語ったとされる「石油の一滴は血の一滴」というフレーズはあまりに有名である。
世界の原油需要、すでにピークを過ぎたのかb 石油の長期的な見通しについても変化が生じることが予想される。国際エネルギー機関(IEA)は「世界の原油需要は2030年代にピークを迎える」としているが、OECD諸国の原油需要に限っていえば2006年にすでにピークを打っている。
その後、中国の「爆食経済」のおかげで世界の原油需要は増加してきたが、新型コロナウイルスのパンデミックの収束後に世界の原油需要が以前の水準(日量約1億バレル)に戻る保証はない。世界各地の企業が緊急避難的に導入した在宅勤務やサプライチェーン(部品供給網)の縮小の動きが続く可能性が高いからである。
欧米ではかねてから気候変動問題への関心から「石油離れ」の動きが強まっている。私たちが気づかないうちに世界の原油需要はピークを過ぎてしまい、すでに「ポスト石油」時代が到来しているのかもしれないのである。
勢力を盛り返しているのはイスラム国
長らく世界の檜舞台に立っていた原油だが、その引き際に大きな混乱が起こるのではないだろうか。世界の大産油地帯である中東地域の地政学リスクが一気に顕在化する可能性が高いからである。中東諸国は原油安に加えて新型コロナウイルスの感染拡大の対応に翻弄されているが、これを尻目に勢力を盛り返しているのはイスラム国である。
そのイスラム国の勢力が16日、チュニジアで新型コロナウイルスを悪用したテロを開始した。チュニジア政府によれば、新型コロナウイルスに感染した疑いのある実行犯を治安部隊に侵入させ、ウイルスを蔓延させるという新種のテロを企んでいた。テロは未然に防止されたものの、イスラム国がウイルスの感染者を多数テロリストに仕立て、中東全域で反転攻勢に出るのは時間の問題である。
イスラム国がターゲットとするのは、イラク(OPEC第2位の生産国、日量約480万バレル)だろう。イスラム国の拠点の一つだったイラクは、昨年10月から無政府状態が続いており、直近の原油価格急落で最も大きな打撃を蒙った国の一つである。公衆衛生レベルは悪化の一途を辿っており、イスラム国の新型コロナウイルスを用いたテロ攻撃の最適の地といっても過言ではない。
このように、原油価格がマイナスになったという事実は、今後世界に起きるかもしれない大惨事の前兆かもしれないのである。
(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員)
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2020.04.19 SUN 14:00
TEXT BY SANAE AKIYAMA
新型コロナウイルスは、いかに感染し、そして重症化するのか? そのメカニズムが研究で明らかになってきた
猛威を振るう新型コロナウイルスは、人間の体にどうやって感染し、どんな症状が現れるのか。どんな患者が重症化するのか。そのメカニズムが、世界中の科学者たちによる研究から徐々に明らかになってきた。
新型コロナウイルス(正式名称は「SARS-CoV-2」)によって引き起こされる症状には、さまざまなものがある。これまで世界中の感染者からの報告により、かぜに典型的な症状や肺炎のほか、下痢、嗅覚・味覚障害、腎障害があることが明らかになってきた。
では、これらの症状はどういったメカニズムによって引き起こされるのだろうか。世界各国の調査によると、性別や年齢層によって感染しやすさが異なり、ウイルス感染の重症度や死亡率に非常に偏りがあることがわかってきた。男性、高齢者、そして糖尿病・高血圧・心疾患などの“持病もち”が最も重症化しやすいことがわかっている。
新型コロナウイルス感染症「COVID-19」が最初に報告されて以来、専門家や市民科学者からは1,800を超える数の論文(査読前のプレプリントを含む)が発表されてきた。ここでは、COVID-19の症状やその仕組みに関する研究論文を抜粋して、明らかになりつつあるメカニズムを紹介しよう。
1)どうやって感染するのか?
わたしたちの体の中の細胞には、新型コロナウイルスが、効率よく侵入できる分子的な仕組みがある。細胞への“入り口”として使用される「ACE2」受容体と、たんぱく質の分解酵素である「TMPRSS2」「FURIN(フーリン)」である。
ウイルスはまず、表面にある突起状のスパイクたんぱく質を、宿主細胞のACE2受容体にぴったりと結合させる。すると、細胞膜にあるたんぱく質の分解酵素「TMPRSS2」や「FURIN」が、ウイルスのスパイクたんぱく質を適切な位置で切断し、ウイルスと細胞の融合を助ける。
かくしてウイルスは細胞内に侵入して遺伝物質(RNA)を注入し、わたしたちの細胞を“工場化”してウイルスを大量に自己複製させられるようになるのだ。
COVID-19の患者のなかでも高血圧の人が重症化しやすい理由のひとつに、ACE2が血圧を調節するために重要な受容体であることが挙げられている。ウイルスが先に侵入してしまうと、その役目を果たせなくなるのだ。
またTMPRSS2は男性ホルモンであるアンドロゲンの受容体でもあり、その発現量は男性に重症化する患者が多い原因となっている可能性も疑われている。FURINについてはCOVID-19に関連する研究論文がまだ少ないのでここでは割愛するが、FURINは肺組織や気管支の一部の上皮細胞で発現しており、ACE2/TMPRSS2の組み合わせだけよりも潜在的に25パーセント以上の細胞を感染させやすくしている可能性があるという。
ACE2の発現量は、年齢、性別、ライフスタイルによって変わるという。細胞表面にあるACE2受容体は年齢とともに増加し、一般的に女性よりも男性のほうがその密度が高い傾向があると報告されている。「これは単なる傾向にすぎませんが、新型コロナウイルスの感染者が女性より男性に多い理由を説明することができます」と、ドイツのハイデルベルクにある胸部クリニックのローランド・アイルズ教授は指摘する。
また、ACE2の発現量は、運動や喫煙によっても上昇することがわかっている。心疾患、高血圧、慢性閉塞性肺疾患などの持病もちの人々も、肺のACE2発現量が上昇するという。
2)体のどの組織に感染するのか?
疑問となるのは、これらがわれわれの体の「どこ」で発現しているかだろう。結論から言うと、新型コロナウイルスは、基本的にACE2とTMPRSS2(またはFURIN)の両方が発現している組織の上皮細胞に感染する傾向にある。COVID-19の患者の多くに症状が現れる気管支や肺は、これら2つの受容体が発現している組織の主な例である。
ACE2とTMPRSS2の遺伝子発現は、組織細胞の種類によって異なっており、それには個人差や性差もある。ACE2の発現は、肺、心臓、小腸、腎臓、精巣、肝臓の、特に組織表面で上皮を形成する上皮細胞で報告されている。
また「GTEx(Genotype-Tissue Expression)」と呼ばれる遺伝子発現の組織的差異が記録されたデータセットによると、呼吸器系(肺)、消化器系(結腸、小腸など)、循環器系(心臓、動脈など)、泌尿器系(腎臓)、生殖器系(精巣、卵巣)を含む複数の組織にわたって、ACE2が中程度のレヴェルで広く発現していることがわかっている。TMPRSS2も肺、腎臓、小腸、精巣などの組織で幅広く発現している。
3)ほかにどんな症状が現れる?
・腸:下痢や嘔吐など(軽症)
ACE2とTMPRSS2の小腸での高い遺伝子発現量から、COVID-19は消化器系(下痢など)の症状を促すことが示唆されている。
実際に武漢で実施された調査によると、比較的軽症で済んだ患者の多くが最初に感じた症状として「下痢」を挙げている。206人の軽症患者のうち、19.4パーセントは下痢が最初の症状で、全体の57パーセントに消化器系の症状があった。それらは平均して5.4日続いたという。
また別の調査によると、新型コロナウイルス感染症の患者204人のうち、腹痛、下痢、嘔吐など、18.6パーセントの患者が消化器官に関する症状を経験していた。消化器症状のあった患者では、症状のない患者に比べて肝酵素値が高く、単球数が少なく、プロトロンビン時間(血液の凝固異常)が長かったことが報告されている。
・鼻:嗅覚・味覚異常(軽症)
新型コロナウイルス感染症の初期症状、特に40歳以下の人々には嗅覚異常と味覚異常が報告されている。韓国では30パーセント、ドイツでは67パーセント(3人中2人)というかなりの割合のCOVID-19患者が、嗅覚・味覚障害を報告している。
ポイントは、鼻詰まりの症状ではなくても、においや味覚が薄れたりまったく感じられなくなったりすることだ。嗅覚・味覚異常の患者は男性よりも女性にやや多く、COVID-19の症状自体も比較的軽症で済むことがわかっている。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の調査によると、嗅覚や味覚の喪失の多くは軽度ではなく、まったく感じられなくなる深刻なものだとしている。しかし回復率は高く、感染後2~4週間以内に嗅覚と味覚が回復することが報告されている。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究では新型コロナウイルスの陽性と診断された人たちは、陰性と診断された人々よりも嗅覚・味覚異常を報告する可能性が10倍以上だと発表している。このことから、嗅覚・味覚異常は新型コロナウイルスの陽性診断において信頼性の高い予測因子であることが示唆されている。
においを脳に伝える嗅細胞には、ACE2とTMPRSS2遺伝子は発現していない。このため嗅覚・味覚異常のメカニズムは、これまでは不明だった。しかし、新たな報告では、嗅細胞の周りにある嗅覚上皮の支持細胞や幹細胞は、鼻呼吸器上皮の細胞と同様に、これらの遺伝子の両方を発現していることがわかった。この知見は新型コロナウイルスへの感染が嗅覚・味覚異常を引き起こすメカニズムを示すものである。
・腎臓:腎障害(重症)
腎臓はACE2とTMPRSS2の発現量が多い。呼吸器系以外で新型コロナウイルスが腎臓などの臓器に直接感染するかどうかは、いまのところ不明である。しかし、武漢の病院で1月17日から3月3日までに入院していたCOVID-19の患者85名のうち、23名(27.6パーセント)の患者が急性腎不全を起こしていたことが報告されている。
また、そのうち6名の死後の腎臓組織を調べたところ、重度の急性尿細管壊死と感染を示すリンパ球浸潤が認められた。さらに、腎臓内にはウイルス様粒子が認められ、腎尿細管には核たんぱく質(NP)抗原が蓄積していたことが確認されたという。
別の調査では、COVID-19の患者にの多くに腎機能障害がみられ、そのうちごく一部に急性腎障害が発生した。この研究からはCOVID-19の重症死亡患者と、蛋白尿、血尿、血中尿素窒素、血清クレアチニン、尿酸、Dダイマーの上昇が有意に関連することが示されている。このことから、腎機能障害のマーカーは院内死亡リスクと関連するため、患者の腎機能のモニタリングは十分な注意が必要であることが示唆されている。
4)重症化する患者の特徴は?
新型コロナウイルスの感染が広がるにつれ、高リスク者を特定するためのマーカーの開発が急がれている。最初の震源地となった中国、そしていまのところ世界で最も死亡率の高いイタリア(12.97パーセント、ジョンズ・ホプキンズ大学調べ)で明らかになっている重症化の傾向は、男性、高齢者、持病もち(高血圧、心疾患、糖尿病、ぜんそくなど)だった。
・若者を含む肥満の人たち
ところが、英国と米国での感染が広まっていくうちに、比較的若い患者の重症化も報告されるようになってきた。両国の医師たちによると、集中治療室(ICU)に運ばれる患者はたいてい肥満の男性だという。
これまでの研究では、肥満は糖尿病、高血圧、心疾患などの病気を併発しやすいことがわかっている。世界各国の肥満率を見ると、中国は6.2パーセント、イタリアは19.9パーセント、英国は27.8パーセント、米国は36.2パーセントとなっている。ちなみに日本の肥満率は4.3パーセントである。
英国の大学の調べによると、73パーセントの(集中治療室に運ばれた)重症化患者は男性で、73.4パーセントが肥満だったと伝えられている。また一部報道によると「人工呼吸器を付けている50歳未満の患者の90パーセントは肥満」だという。この性差とBMI(体格指数)は特筆すべきものだ。
「このウイルスは恐ろしいもので、若者、特に肥満の若者を襲う可能性があります。太りすぎの人は本当に注意する必要があります」と、フランスの免疫学者ジャン=フランソワ・デルフラッシー教授は言う。「肥満の問題がよく知られている米国が心配です。おそらく肥満のせいで最も大きな問題を抱えることになるでしょうから」
反対に世界的な傾向として、持病をもたない65歳以下の人々は、男女ともに感染しても死亡リスクは非常に小さいことが報告されている。
・男性
ACE2とTMPRSS2の遺伝子発現レヴェルと重症化の関連についてイタリアで実施された調査では、イタリア人集団においてACE2の発現量は、性別差や重症化と明確な関連はみられなかったという。ところが男性ホルモンであるアンドロゲンの受容体でもあるTMPRSS2の発現量とその遺伝子変異は、COVID-19の重症化に寄与していたと発表されている。これは男性に重症化患者が多い理由のひとつになる可能性がある。なお、アンドロゲンは、男女ともに筋肉や骨、血管、脳、生殖器などに幅広く作用する。
・子どもは症状が軽い
中国での報告と同じように、米国でも18歳以下の子どもは新型コロナウイルス感染症において、大人よりもはるかに軽症であることが報告されている。子どもたちの症状は軽いだけでなく、実際にCOVID-19であると診断される可能性も低い。2月12日から4月2日までの記録によると、18歳未満の子どもたちは米国の人口の22パーセントを占めるにもかかわらず、COVID-19の患者はわずか1.7パーセントだった。
「強調したいのは、この病気にかかっている子どもたちのなかには、無症状で非常に軽い症状のある子どもたちが大勢いるということです」と、ニューヨーク州グローバルヘルスのディレクターであるエリック・ペナ博士は言う。「この年齢層の死亡リスクは高くないのは確かです。それを人々に知ってほしいのです」
しかし、子どもや若者でも重症になるケースがないわけではない。その場合、ぜんそく、心臓病、免疫力の低下(例えば、がん治療など)といった基礎疾患のある患者がほとんどだという。
「基礎疾患のない健康な子どもの重症化は、おそらくほかの子どもたちよりもウイルスに対する過剰な炎症反応がかかわっている可能性があります。そのような遺伝的素因をもちあわせているのかもしれません」と、ニューヨーク州ハイドパークのコーエン医療センターで小児感染症を専門とするローリー・ルービン博士は推測する。
実際、サイトカインストームとして知られる危険な免疫過剰反応が、かつて多くのSARS患者の死を引き起こした。これは若いCOVID-19患者の死亡例にも関与していると考えられている。
5)免疫システムの暴走「サイトカインストーム」は、なぜ起きる?
COVID-19の発症から治癒には、奇妙なパターンがある。まず患者は最初の1週間ほど、かぜの症状、ひどい人ならインフルエンザのような症状を経験する。そしてだいたい7日目には、これらの患者は少しだけ症状がマシになったと感じるようだ。
ところが、軽症と重症化の明暗が分かれるのが7~10日目である。軽症の患者はそのまま快方に向かうが、重症化する患者は少しだけ気分がよくなったあと、突然悪化する。サイトカインストームが起きるのだ。
サイトカインとは、わたしたちの免疫システムが病原体と戦う際に放出されるたんぱく質のことで、細胞が病原体から攻撃を受けるとサイトカインシグナルを出して免疫細胞を呼び出す。ところが、このサイトカインはときに1カ所で過剰に活性化され、制御できないレヴェルのサイトカインが嵐のように放出されることがあるという。これを「サイトカインストーム」と呼ぶ。
COVID-19の重症化は、ウイルス自身が原因というわけではない。自己免疫によるサイトカインストームが肺をはじめとした複数の臓器で炎症を引き起こし、患者自身を死に至らしめると考えられている。免疫システムの暴走や、酸素不足と広範囲に及ぶ炎症は、腎臓、肝臓、心臓、脳、その他の臓器にもダメージを与えるのだ。
いまのところ、COVID-19は重症化する可能性がSARSよりも低いが、重症化の過程はよく似ているという。このため持病のない健康な若者が、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)で亡くなる理由は、自身の免疫攻撃によるサイトカインストームの結果で生じることが多いと考えられている。
6)重症化を経験した患者の予後はどうなる?
新型コロナウイルスはまったく新しい病原体であることから、免疫をもつ人がほぼゼロだった。このためこのウイルスは災害のように、地球上の人間すべてに等しく感染する。しかし、新型コロナウイルス感染症による重症化や死亡者には、ここでまとめられたような偏りがあることが明らかになってきた。
いまだに不明な点は、重症化によってダメージを受けた臓器はいずれ完全に回復するのか、という点だろう。若くて健康だった人々も、重度の肺炎に加えてほかの臓器の炎症を経験したあとには、何らかの障害が残らないとも限らない。
例えば、軽症でも肺をはじめとした臓器に何らかの炎症があったアスリートたちは、100パーセントの持久力や筋力を取り戻すことができるのだろうか。肺炎で入院した人は、退院後の1年間は、同年齢の対照群と比べて約4倍の心臓病リスクがあり、その後の9年間はそれぞれ約1.5倍のリスクがあるとの研究もある。COVID-19は、こういった問題の大幅な増加を促す可能性もあるのだ。
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