透明人間


あなたが北国の人で、夜眠りにつくとすぐに目が覚めたとします。
時間はたっていないようですが、あなたは違和感を感じて起き上がります。
外に出て雪の上を歩いていきます。
ざく。ざく。ざく。ざく。
何かおかしい。
ざく。ざく。ざく。ざく。
あなたは振り返ります。
足跡が延々と続いています。
ざく。ざく。ざく。ざく。
あなたは気づきます。
体がないのです。
両手を目をこらして見ようとしますが、そこには雪景色があるだけ。
顔に触れようとして、氷のように冷え切った感触はまだ残っていました。
あなたはほっとします。
白い息に気づきました。
よかった。体はある。
目がおかしくなったのでしょうか。
目をぱちぱちさせて、あなたはおそるおそる体を確認します。
そこには何もありません。
パニックがやってきます。
あなたは駆け出します。
ざくっ。ざくっ。ざくっ。
足跡は生まれます。
だれか!
叫ぼうとして声が出ないことに気づきます。
…!……!
声が出ません。
喉に触ろうとしました。喉がありません。
そして嫌なことに気づきました。
さっきまであった手の感覚がないのです。
顔を触ろうとしました。
手がどこにあるのかわかりません。
………!!
あなたは叫びます。
白い息が出ません。
あるのは雪景色だけ。
月が出ています。
足の感覚がありません。
歩こうとして気づきました。
重さがないのです。
あなたを今まで襲ったことのない激情が駆け抜けます。
(こわい!!!!!!!!!!!!!!)
月が出ています。
寒くありません。
温度がないのです。
あなたは混乱しながらも周囲を見渡します。
そして気づきます。
視界が広がっているのです。
いままでにないくらい目がよくなったようです。
とおくに人がみえました。
あなたは助けてもらおうと近づこうとしました。
突然その人は目の前にきます。
……!………!
(たすけて!)
その人は何事もなかったように歩いていきます。
声が出ないので聞こえません。
雪に文字を書こうとしました。
手がないので書けません。
その人の周囲を飛び回るうちに気づきます。
あなたは浮遊しているのです。
(…え?)
体がないあなたは飛んでいます。
思った瞬間にその場所に移動しています。
月が出ています。
視界がさらに拡大しました。
ふといままでの心細さが消えました。
とてつもない心地よさが生まれました。
あなたは幸せな気持ちで旅をはじめます。
(暖かい場所にいこう)
突然あかるい春の風景が広がりました。
木々や花の存在をこれまでにないほど感じることができます。
(なんてうつくしい)
これほどいのちを感じたことはありませんでした。
(ビーチにいこう)
(砂漠にいこう)
(観光名所にいこう)
どんな場所にも喜びがあふれています。
月が出ています。
(……え?)
月が出ています。
いまは昼間です。
月が出ています。
あなたはその月に気づきました。
(あれは、月じゃない)
球体のそれは、月ではありませんでした。
(ああ)
あなたは理解します。
(帰れる)
あなたはその球体に吸い込まれていきました。



伝達された内容を言葉に翻訳しようとしてるうちに、
オチが変わってしまいました。フィオラが言ってたのは夢オチだったのに。こういうのむずかしい。


この自分に、ありのままのみんなに、今日をありがとう。
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