人間の頭脳は古い習慣の中で働き続ける


問題は、人間の頭脳はまるで同じ曲を何度も流しているレコードのように、古い習慣の中で働き続けているということです。その雑音(習慣)がある鳴り続けている間は、何も新しい曲を聴くことができません。頭脳は今日まで、一定の方法で考えたり、その文化、伝統、教育に従って反応するように条件づけられてきました。ですから、その頭脳が新しいものを聞こうとしても無理なのです。そこがわたしたちにとって難しいところです。テープに録音されたものは、消して新たに録音することができますが、頭脳というテープに長いあいだ記録されたものを消して新たに録音することは、とても難しいことなのです。わたしたちは、同じ形式、同じ理想、同じ物理的習慣を何度も何度もくり返しているので、何ひとつ新鮮なものがつかめないのです。
しかし、人間はその古いテープ、古い思考方法、感覚方法、反応方法、無数の習慣を払いのけることができることを私は保証します。本当に注意を払えばそれができるのです。とてもまじめに聞いていれば、聞くことに夢中になり、その真の鑑賞行為が古いものを払いのけます。試してごらんなさい。いや、そうしなさい。


【『英知の探求 人生問題の根源的知覚』J・クリシュナムルティ/勝又俊明訳(たま出版、1980年)】
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