人生は”知識(または知見)”に基づいています。
知識とは”確信”と”勢い”で構成されています。
あなたの人生はあなたが何を”確信”していて、どの程度の”勢い”でそれを周囲の空間に展開させているかということです。Fiora



バイオロギングの歴史は1964年に遡ります。アメリカ人の生物学者、G.L.クーイマン博士がキッチンタイマーを改良したものを使って南極のウェッデルアザラシの潜水の深さと長さを測定したことが2004年の国立極地研究所の内藤靖彦教授(当時)の論文に書かれています。内藤先生は日本におけるバイオロギング・サイエンスの先駆者です。


1980年代末から1990年代始めにかけ、技術的な「革命」が起こり、データロガーは格段に小型化、軽量化しました。


現在使用されているロガーはデジタルで、温度、圧力、照度を測ることができるほか、ビデオも撮ることができます。多くの機器には位置を判断するGPSセンサーや、歩数を測るためにスマートフォンに搭載されているのと同様の3軸加速度センサーがついていて、たとえばペンギンが翼を振る回数や海鳥が羽を動かす様子など、動物の動きを数値化することができます。


日本の研究者はバイオロギング・サイエンスの発展に重要な役割を果たしてきました。2003年にこの分野で初めての世界会議を日本で開催したことがその一例です。この会議において、動物の生態観察のためにデータロガーを使うことを「バイオロギング」と呼ぶことが決まりました。


これまで、バイオロギングは動物の生態や生理を調べるのに主に使われてきましたが、最近はまったく違った方面の、気象予測への応用の可能性が注目を浴びています。


海鳥にGPSを取り付け、北海道まで餌を取りに飛行した後に岩手県沖の島にある巣に戻ってくる過程の海鳥の毎分ごとのデータから海上の風の方向と風速を推定しました。


過去2年半にわたって、動物に取り付けたロガーから収集したデータがスーパーコンピュータに取り込まれたときに実際に気象予測を改善するかどうかを他機関の研究者との共同研究で調べています。


現在、海上風に関するデータは非常に限られています。なぜなら、人工衛星は一日2回しか同じ場所のデータを集めることができず、また海岸から100キロ以内の海上も、海岸近くの岩や硬い物体に衛星の電波が乱反射されるためデータが取れないからです。


海洋気象ブイも水深3000メートルもある外洋では海底に固定できないので実用的ではありません。しかし動物に搭載したロガーなら、大きな移動距離をカバーし、気象シミュレーションに必要なビッグデータを提供できるかもしれないのです。
取材・文:小竹朝子



熱帯の国インドネシアに存在する氷河、10年後には消失の可能性 研究
AFPBB News
2019/12/16 23:20


【AFP=時事】あまり知られていないものの、インドネシアに存在する氷河の融解が、ここ数十年で急速に進み、10年後には消失する可能性があるとする研究結果が先週、発表された。米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された今回の論文は、気候変動が熱帯地域の氷河にもたらす差し迫った脅威を強調するものとなっている。


スペインの首都マドリードでは15日、国連(UN)の気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)が閉会。そこから数千キロ離れたインドネシア・パプア(Papua)地方の山岳地帯のほか、アフリカやペルーのアンデス山脈(Andes)にある少数の氷河をめぐっては、気温上昇を抑制できない場合に起こり得る事態について早くから警鐘が鳴らされてきた。


論文の共著者で、米オハイオ州立大学(Ohio State University)の教授を務めるロニー・トンプソン(Lonnie Thompson)氏は、「(パプアの)氷河は比較的高度が低いので、最初に消えてしまうだろう」と指摘。「こうした氷河は『炭坑のカナリア』だ」と述べた。


アイスランドでは今夏、気候変動により同国で初めて氷河「オクヨクットル(Okjokull)」が消失。同国にある約400もの氷河も、同じ運命をたどる恐れがあるとされている。


氷河は通常、寒冷な国々に存在するイメージがあるものの、ニューギニア(New Guinea)島の西半分を占めるインドネシア領パプアの氷河は、世界的な気温上昇の影響を示す重要な指標となっている。


論文の共著者の一人で、インドネシアに拠点を置く氷河学者ドナルディ・ペルマナ(Donaldi Permana)氏は、「熱帯地域の氷河はたいてい小規模なため、他の大規模氷河や氷床よりも気候変動による変化に早く反応する」と説明する。


パプアの氷河は以前の推定によると、過去数十年で約85%縮小。さらに先週発表された論文によれば、かつて20平方キロにわたって広がっていた氷河は、現在0.5平方キロ未満にまで縮小。さらに過去数年間で、氷河の縮小ペースは5倍超に上昇した。


ペルナマ氏は、「氷河はもはや形成されることなく、後退しかないことから、状況は懸念すべき水準になった」とし、「氷河は10年以内に消失する恐れがある」と指摘。


ただ、「温室効果ガスの排出量を削減し、植林を増大すれば、パプアでの氷河後退を減速させられるかもしれない」と述べた。それでも融解を「食い止めるのは極めて難しいと考えている」という。


また氷河の消失は、環境的な影響のほか、氷河を神聖なものとみなす先住民族にとっても文化的な損失になり得る。


トンプソン氏は、「山々や渓谷は彼らの神様の腕や足であり、氷河は頭部だ」と述べ、「神様の頭がもうすぐ消えてしまうことになる」と語った。
【翻訳編集】AFPBB News



明治維新の立役者であり勇猛果敢さが強調される西郷だが、実は、徹底して「待つ人」だった。真に必要に迫られなければ自ら動かない。しかし一度内心からの促しを感じたなら、躊躇することなく決断し動く。それこそが西郷という人物の真髄だった。それは、折にふれて、「自己をはるかに超えた存在」と魂の会話を続け、そこに照らして自らの生き方を問い続けた「敬天愛人」という信条から発するものだった。


試練は人生からの問いである


試練を好機ととらえることで、偉大な改革を成し遂げた日本人が描かれている。米沢藩主・上杉鷹山と農民聖者・二宮尊徳だ。上杉鷹山は、まず自らが変わることで、誰もが不可能と考えた米沢藩の財政を立て直した。「民の声は天の声」という姿勢を貫き、領民に尽くした鷹山の誠意が人々の心をゆり動かした結果である。一方、二宮尊徳は「自然はその法に従うものに豊かに報いる」との信念のもと、どんな荒んだ民の心にも誠意をもって向き合い、道徳的な力を引き出そうとした。その結果、途方もない公共事業を次々と成し遂げていった。


内村をめぐっては「二つのJ」という表現を聞いたことがあるかもしれません。イエス・キリスト(Jesus)と日本(Japan)です。彼はこの「二つのJ」への献身を誓います。それは神と隣人と言い換えることができるかもしれません。理想と現実とも言えます。


じつは、この本の本当の主役は五人の人間ではなく、彼らを超えたものの存在なのです。
それを内村は「天」と書いています。人は、「天」に導かれるとき、どのように人生を切り拓き、苦悩や試練と向き合うことができるのか。また、そこで他者と時代と、どのように関係を作り上げてゆくことができるのかが、この本には活き活きと語られています。


良書は、読まれることによっていっそう豊かになっていきます。それは読者とともに育ち、読者によって完成されるものです。


「考えること」「信じること」というそれぞれの方法で、ゆるぎない信念を貫き通した人物たちも描かれている。儒学者・中江藤樹と、仏教者・日蓮だ。中江藤樹は「道は永遠から生ず」との信念を生涯つらぬき、たとえ藩主が訪ねてこようとも子供たちへの講義を中断することなく待たせた。また道に反することであれば最も尊敬する母親の意見も聞き入れなかった。一方、日蓮は、若き日、膨大な仏典を読む中で出会った「依法不依人(法に依って人に依らず)」を生涯の座標軸に据え、「法華経」に殉ずる生き方を貫いた。その信念はいかなる権力の脅しにも屈せず、死罪、流罪をも精神の力ではねのけた。


「自然」と歩みを共にする人は急ぎません。 一時しのぎのために、 計画をたて仕事をするようなこともありません。 いわば「自然」の流れのなかに自分を置き、 その流れを助けたり強めたりするのです。 それにより、みずからも助けられ、 前方に進められるのです。
(内村鑑三「代表的日本人」より)


人は、何かを行おうとするとき、どうしても「自己の利益」や「自分の都合」で物事を進めがちです。ですが、「私」にとらわれすぎてしまうと、往々にして物事は滞ってしまいます。


内村は、誰しもが実感したことがあるこうした真実を「二宮尊徳」の章で、「自然」や「天地の理」という言葉で表現し、そうした自己を超えた大きな存在に身を寄り添わせ、和合していくことこそが、何事かを成し遂げる際にとても大事なことだと繰り返し訴えています。それは、他の章でも、「天」「天の命」「宇宙」「道」「法」といった言葉でも繰り返し表現され、それぞれの人物の偉大さが、こうした自己を超えた大きな存在を座標軸に持ちえたことに起因していることを描き出しています。


「人がどう生きたか」こそが人から人へと伝えられるものであり、それが魂のリレーとなっていく…


内村にとって生きるとは、自己実現の道程というよりも「後世」に生まれる未知の他者が歩く道を準備することだった。


クルド人、再び失う故郷 20万人、イラクなど避難


シリア北部の少数民族クルド人勢力の排除を目的に、トルコ軍がシリアに侵攻してから二カ月が過ぎた。トルコは停戦で合意したものの、隣国イラクには今も多くの避難民が身を寄せ、戻れるあてのない日々を送る。大国の利害に翻弄(ほんろう)されるクルド人の歴史が、再び繰り返されようとしている。 (イラク北部ドホークで、奥田哲平、写真も)


■歩いて越境


先月下旬、クルド人自治区・ドホーク郊外のバルダラシュ難民キャンプに、百人超の家族連れが到着した。大きな荷物を抱え、疲労が色濃い。かばんに座って登録待ちをしていたムスタファ・ブザンさん(62)は、トルコ軍が初めに越境攻撃を仕掛けたラス・アルアイン出身。一家九人で脱出を始めると、自宅が攻撃を受けて炎上したという。


別の都市を転々とした後、「シリアでは国際援助が不足し、攻撃の心配も消えない」と密入国業者に二千ドル(約二十二万円)を支払い、徒歩で国境を越えた。暗闇の中で携帯電話の明かりを照らし、自治区の警備隊に救助された。


キャンプは過激派組織「イスラム国」(IS)からの避難民を収容するために二〇一四年に開設し、一七年に閉鎖したが、軍事行動を受けて急きょ再開。約一万一千人でほぼ満杯だ。親類ら十一人で到着したイスマイルさん(16)は二度目の避難。シリア内戦が始まった一一年にイラクに逃れ、昨年シリアの自宅に戻ったばかりだった。「国際社会がトルコを止めてくれると思っていた」と嘆いた。


■裏切り


トルコ軍の侵攻は、トランプ米政権が黙認したのが発端。クルド側は一四年からIS掃討作戦で協力してきただけに「裏切られた」と憤る。その後、米軍撤収の空白地に食い込みたいロシアが仲介し、トルコの要求通りクルド人勢力を国境地帯から排除することで合意。トルコは「安全地帯」と称して一部を実効支配し、トルコ国内のシリア難民を帰還させる計画だ。


シリア国内を含め避難を余儀なくされたのは約二十万人。ラス・アルアインは今、アラブ系住民だけがとどまり、親トルコの民兵組織が常駐するという。


同地で洋服店などを経営していたアフマド・ユセフさん(21)は「近所の住民から連絡があり、店は略奪された。難民が入れ替わって住めば、もう戻れないだろう」と訴える。強制移住で人口構成を変えるのは民族浄化にほかならない。


■独立失敗


シリアやトルコ、イラク、イランにまたがって暮らすクルド人は「国を持たない世界最大の民族」と言われる。各国で差別と迫害を受けたクルド人にまたとない独立の好機が、IS掃討作戦への参加だった。


しかし、イラクのクルド自治政府が一七年に実施した住民投票は周辺国などの反発に遭い、独立の試みは失敗。シリアでも北部一帯に実効支配地域を拡大し、独自の統治制度「民主連邦制」の導入を目指したが、今回のトルコ軍侵攻で機運はそがれた。


キャンプでは、シリアのクルド系武装組織「人民防衛部隊」(YPG)が難民の越境を妨害しているとの証言もあった。「とどまって国のために戦え」と引き留められたユセフさんは言う。「国際社会の注目を集めるためには市民の犠牲が必要だったのだろう。YPGにとっては私たちも裏切り者。独立よりも今はただ、普通の生活を送りたい」
東京新聞 2019年12月17日








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