「昨日の宿題について、誰かほかに発言がありませんか」
わたしは手も挙げずに発言した。
「わたしは昨日や一昨日苦労したことを思い出したり、今日や明日、そしてその後の旅がうまくいくだろうかと心配したりしていました。自分で緊張しているのがわかっていましたから、何とかリラックスして今の瞬間に意識を戻そうとしたのですが、努力すればするほど、余計ダメでした」


バーソロミューはハッハッハッと笑った。「いまのを聞きましたか」。彼はうれしそうだった。
「彼女は『今の瞬間に意識を戻そうとした』と言いましたね。その言葉の中にはいくつかのルールが含まれています。なかでも『わたしは今の瞬間に意識を置いておかねばならない』というルールが顕著です。これはもう、『エベレストに登らねばならない』と言うようなものです。ルールなんかありません。『ねばならない』は存在しません。『ねばならない』と言い出したら、元いたところに戻ってしまいます。この瞬間に生きるというのは、『ねばならない』ことではないのです」。


「それはあなたが常にしていることであり、しないでいることなどできないことです。それがたえず起きているということにあなたは気づいていない。だから難しく感じるのです」。

「いわゆる『行為』はすでになされて終わっています。なぜならこの瞬間とはあなたがいまいるところであり、この瞬間以外には何もないのですから。この瞬間とは今現在のすべてであり、今起きていることです。このことを忘れないためには、『自分の呼吸を見つめ、思考の流れを観察してください』。聞いている内容を評価する代わりに、『聞くという行為そのものを意識してください』。こうしたことを実践すれば、瞬間に生きることができます」。


「ではこの『聞く』という行為について考えてみましょう。あなたは意志の力を使って聞きますか。意識して聞こうと決心してから聞くのですか。それとも自然に何かが聞こえてきて、それに気づくのですか。では思考はどうでしょう。考えようと決心しますか。何を考えるかは意識して決めるかもしれませんが、考えるかどうかも意識して決めますか。呼吸することや見ることはどうでしょう。意識して選びますか。それともこの瞬間にいつの間にか呼吸したり見たりしている自分に気づくのですか。この瞬間にはいつも何かが起きていて、あなたはただそれに反応しています。この瞬間には何か生き生きとしたものがあります。あなたはそれに気づけばいいのです。そしてその中にゆったりとくつろいでいればいいのです」。

「そこで今日はできるだけたくさん、このリラックスした瞬間を体験してください。聞くこと、見ること、呼吸すること、考えることなどが、自分の中で自然に生まれては消えている事実に気づいてほしいのです。何度も何度も、くり返し気づいてください。それらのすべてに気づいてください。どうやって気づけばいいのか、などという方法論にこだわらないように。覚醒意識に気づけるようにならなければ、などと考えないでください。覚醒意識に気づく、などということはできません。あなた自身が覚醒意識であること、それしかできません」。


「瞬間に生きるという体験を実際にするまで、こうしたことは単なる言葉にすぎません。では体験とはどうやってするのでしょうか。自分が持っているものを使えばいいのです。あなたは聞くことができます。見ることもできます。呼吸することもできます。もちろん考えることもできます。自分ができることをしましょう。自分に何かを思いこませたり、話をでっち上げたり、空想したりしないように。今日一日、自分のまわりに実際にある物と深く関わってください。明日、またこの問題について話しましょう」。
バーソロミュー

今日もありがとうございました。
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